2009年7月 8日

村上春樹「1Q84」

<p><p>メッセージ</p></p>
ミーハーなので、発売日に買いました。
久々の長編書き下ろし、で話題の作品。現物を手にとるまで「IQ84」だと思ってました。知能指数。
 
「海辺のカフカ」がいまいちだったので、不安と期待と半分づつ。
 
1984年が舞台です。タイトルの通りですね。
私はよく、時代設定のはっきりしている本を読むときに、自分の年齢と比べてみて主人公がどれくらいの年代の人かって考えるんですけど、この作品の主人公、青豆と天吾は1984年時点で30歳くらいなので、ただいま55歳。おお、会社のおじ様たちと同年代です。バブルだ。

青豆と天吾、二人の主人公を交互に変えながら話は進む。

 
天吾は、ある1作の文学賞への応募作品をリライトし、
青豆は、混雑した高速道路を非常階段を利用して途中で降りるところから話は始まる。
 
そこが1Q84年への入り口だった・・・。
1984年ではなく1Q84年。ぱっと見た目は1984年のままなのだけれど、何かが違う。見るもの聞くもの、ちょっとづつなにかがずれている。物語が進むにつれて、二人のつながりや「1984年と1Q84年の間にあるなにか」が分かってくる・・・。

あらすじは、あまり上手にかけそうにないのでこれくらいにしておきます。

 
個人的には、登場人物のキャラクターや、文章の雰囲気が存分に「村上春樹」らしくて満足。1Q84がベストセラーになるとともに、「ノルウェイの森」が売れてるのも分かる気がします。なんかねキャラの雰囲気が似てるっていうかなんていうか。
安心して読めました。ちゃんと村上春樹らしくてでちゃんと面白い。
 
あ、余談ですが、いまさら気付いたんですけど、村上春樹は女の人の耳が好きですよね。きっと。よくそういうシーンがでてくるなーって。

興味がある人は、1ヵ月後くらいに古本屋さんに行ったらいっぱい売ってますよきっと。読んでみる価値はアリ、と思います。

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中山可穂「ケッヘル」

<p><p>メッセージ</p></p>
これ、今年一番かもしれません。
エンディングまでぐいぐいとひきつけられ、先へ先へと読むのがやめられない一方、「読み終わりたくない」と後ろ髪を引かれる。パワフルでありながら、繊細な作品。
 
中山可穂さんの、重く、美しい、独特の官能的な文章に、「モーツアルト」という天才と音楽という芸術が色を添え深みを与えている。
 
いつもの、どっぷり恋愛。というのではなくて、ミステリアスな話の展開にぐいぐいと引き込まれる。ちなみに、ケッヘルというのはモーツアルト作品の別の呼称。ケッヘルさんという人が、モーツアルト作品を整理して1作づつにつけた番号だそう。
 
駆け落ちまでして、貫いた恋が、しだいに狂気へと変わる。
命の危険を感じ、猛然と恋人から逃げるため、旅にでる。終わりのない、戻る場所のない旅。
その旅に終わりを与えてくれたのは、フランスで出会った不思議な男だった。
不思議な出会いの後、主人公の香耶の周りでは次々と殺人事件が起こる。そして、少しづつ解明される真実と、新しい出会い・・・。
 
伽椰と鍵人。主人公を交互に変え、現在と過去をいったりきたりしながらつづられる物語は
フランス映画のようでもあり、ハリウッドドラマのようでもあり。
 
ああ、こういう本が読みたかった。と久々の大感動。
 
中山さんの作品には、一貫して女性同士の恋愛が描かれています。それも、かなり激しく生々しく。

多分、女性は女性同士の恋愛が描かれていても、それほど嫌悪のある人はいないと思うんですが、男性はどうなんだろうなぁ、なんてふと思いました。
中山さんの作品、特にこの物語は、本当にスバラしい。「マラケシュ心中」なんかもほんと身動きできないくらいの作品でしたけど、この作品は今までの恋愛ものを突き抜けた感があって、ぜひぜひみんなに勧めたい。
でも、「女性どうしの恋愛」を避けるがゆえに、男性がこの本を手にとらないとしたら、もったいないなぁ(なんか、男性に受け入れられないような気がして・・・)、なんてなんの根拠もないことを考えていたら、旦那が読んでました。
そして、「中山可穂」っておもしろいね。 だって。余計な心配でした。(というか、私が一番偏見もってたのかな?もしかして。)
確かに、「ちょっと・・・」と思いながらも、セックス&ドラッグ&バイオレンス、な作品も読むもんね。私も。
 
とにかくとにかく。すごく、よかった。

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2009年6月26日

山崎豊子「不毛地帯」

そろそろドラマ化みたいですね。
最近は、読書時間が取れるようになってきたので、大作をひとつ。

第二次世界大戦時、陸軍参謀として活躍した軍人、壱岐正。
敗戦後の、シベリア拘留時代から、商社マンとして活躍した、約30年間を描いた物語。

モデルは、丸紅で戦後中途採用から会長までつとめた瀬島さんという方だそうですね。(Wiki調べ)会社を組織として成長させ、丸紅を日本屈指の商社に成長させた立役者。

それにしても、敗戦そして戦後のシベリア時代は、読んでいて苦しくなるばかり。
精神的にも、肉体的にも過酷な日々がなんと11年とは。私には想像すらできません。これってフィクションじゃなくてノンフィクションよね。
戦後生まれの私にはまったく分からない世界だけれど、こういう日々があったとすると、過去の歴史を許しきれない、反日感情というものも少しは理解できるような気がします。

多くの仲間が、防衛庁など、軍関係の仕事につく中で、壱岐は近畿商事に入社し、商社マンとなる。

軍歴を重宝されて、近畿商事が代理店となる、戦闘機の売り込み合戦にかかわるあたりから、商社マンとしての力を発揮し始める。この辺からが物語の後半。
常務、アメリカ支社長、副社長・・・。本人の意思とは関係なく出世してゆく一方、いつまでも消えることのない私生活や自分の気持ちとの葛藤・・・。

山崎豊子らしく、一つ一つの出来事が詳細でリアルで、読み応えのある作品。

高度成長期に、仕事に没頭した男たちの姿もなんだか新鮮。
企業戦士、なんて言葉昔あったなぁ。家庭を顧みず働いて、定年したら濡れ落ち葉。ってのもありましたね・・・。

私にしたら、「そんなに働かなくても・・・。」と思うけど、
親やそれ以上の世代の人にしたら私たちは「いまどきの若もんはヌルい。」ということになるのかな。
そして私も同様に、今の20代前半の若者には、「もっとしっかりせい!」と思ったりするわけなので、なんだかんだとみんな似たようなことを繰り返していくものなのかもね。

こうして、たくさんの時代を知ることができるのも、読書(映画鑑賞なんかも)の楽しみの一つですね。

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2009年5月20日

新田次郎 「剱岳(点の記)」

<p>メッセージ</p>
新田次郎さんの山岳小説って、けっこう「つらい」「きつい」みたいなイメージが強く、ストイックすぎてたまについて行けなくなりますが、この点の記は構えて読んだ分、ちょっと拍子抜け。(別にがっかりしたわけじゃなく)
 
日本初の剣岳登頂を三角点測量隊と、山岳会で争う。そんな男くさい物語と思ってました。
それが意外や意外、淡々と語られる。山岳会との勝負、は剣岳登頂へのきっかけでしかなく、勝負そのものは物語の本質ではない。といった感じ。
ホントに淡々、といった感じ。剣岳登頂はもちろんメインなのだけれど、昔の人が日本地図を作成するため、測量を行ってきた。その測量という仕事の苦労がひしひしと伝わってくる。三角点ってなんだっけ、と恥ずかしながら調べたり・・・。
決して登れない、登ってはいけない山の頂に「登った」という事実と、山岳信仰によって守られてきた剣岳そのものの歴史に対して、ずっしりとした重みの伝わる物語でした。
 
ちなみに、この小説は映画化されましたね。2009年6月公開。
 
山を文字で読むというのも、なかなか想像力がかきたてられて好きなのですが、
映像になったら、その迫力はいかばかりか、と見に行きたい気持ちでいっぱいです。

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川上弘美 「どこから行っても遠い町」

<p>メッセージ</p>
ひさしぶりに、川上弘美らしい、ほんわかとした短編集。
昔ながらの商店街のある町が舞台。
その町の人々の若かりしころのあれこれなんかが、1話ごとに主人公が変わりながら語られる、時間軸もバラバラで。
 
一話一話、すごく味わいがあるというか、素敵な雰囲気なんだけど、強烈な印象を残さないでサラリと読ませる。
そんな濃すぎないところが、川上弘美作品のふともう一度手に取りたくなる理由かなと思ったり。
 
いろんなことがあった(ある)けど、今の自分は人がどう思うとは関係ナシに結構幸せ。
そんな11話すべてに共通するマイペースさが心地よい。

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歌野晶午 「葉桜の季節に君を想うとい うこと」

<p>メッセージ</p>
これまた、このミステリがすごい大賞受賞作です。
ドキドキもののミステリを求めているわけですが・・・。
 
「なんでもやってやろう屋」を自称する成瀬将虎という男が、
フィットネスクラブで知り合いの女性と後輩から、おじいさんがマルチ商法に引っかかって、
殺されたのではないかという証拠を調べて欲しい、と頼まれるところから話は始まる。
 
トラと呼ばれ、愛嬌も度胸もあり、なかなかテンポのいい調子ですすむ。
ちょっとした恋などもあり、ふむふむ、と読み進めると・・・。
 
最後の最後で「?????」つじつまが・・・???
 
前を読み返したり先を読んだりして「あ、そういうことなのか。」と思う。
それがラストのお楽しみ。
 
それなりにテンポよく楽しい作品でしたが、ドキドキのミステリとはちょっと違った感じ。
「このミス大賞」作品で、ちょっとイメージと違う作品が続いているので、次はホラーにしてみようかと思います。こわくてたまらないやつを。

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2009年5月 1日

森絵都「風に舞い上がるビニールシート」

<p>メッセージ</p>
あまりよく見ず買ってしまいましたが、読み始めて短編集である事に気付きました。
 
我儘なオーナーパティシエのために奔走する秘書
捨て犬の世話をするボランティア
仏像に魅入られた修復師
 
などなど。。。
日常を一生懸命がんばる人々を描いた物語。
 
私が一番「好き」だったのは仏像の修復師の物語。
 
仏像に非常なこだわりを見せる主人公と職人肌の親方との関係。
そして、手先が器用で、生き方も上手な同僚。
 
ある時修復に携わった仏像に心を奪われ、親方とぶつかりながらも
「その仏像を本当に理解しているのは俺だけだ」と思い続ける・・・。
 
結果、自分の思い通りに修復できたという結末ではないんだけど、
なんか、不思議と若いときのこだわりとか、思い込みとかに感じるものが
あったり、それがある時ジワーっと解けていく様子とかに心があったかくなりました。
 
仏像好きなので、それも、この作品が気に入った理由のひとつかも。
 
そして、短編集の最後が表題の「風に舞い上がるビニールシート」。
 
国連の難民事業に携わる里佳は、職場恋愛の末、結婚。そして、離婚。
 
その後、元夫は紛争の絶えないアフガンの地で亡くなってしまう・・・。
 
結婚し、自分の家庭を気付きたいと願う主人公。
そして、「難民たちを救うために現地で働き続ける」ことにこだわる夫。
 
すれ違い、越えられない壁・・・。
 
「風に舞い上がるビニールシート」の言葉が胸にしっかりと残ります。
(私は風呂で号泣でした。。。汗)
 
 
多かれ少なかれ、誰でもが経験する、日々の葛藤。小さな選択の数々。
じんわりと心に残る短編集。 直木賞受賞作、納得です。

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伊園旬「ブレイクスルートライアウト」

<p>メッセージ</p>
久しぶりに新しい本を買いました。
いやー、本棚の本を惰性で読むのとはやっぱり違いますね。
読みたい本を選んで読むと、テンションがあがります。
「このミステリーがすごい大賞受賞」文庫の帯のセリフだけで買いました(笑)
なんか、ドキドキして、一気に読めるような本が読みたくて。
あるセキュリティ会社が自分の会社のセキュリティ技術のテストもろもろのため、
「ブレイクスルートライアウト」というコンテストを開催する。
北海道の山奥にある自社の最新のセキュリティ技術を終結して作った研究所に
進入させ、その進入が成功するか!?というコンテスト。
なかなか面白いネタですよね。
主人公と相棒との友情とか、それぞれの個人的な事情とか、ちょっとしんみりな内容もところどころに入れつつ、スピード感ある感じで、気持ちよく読めます。
とはいえ、「ブレイクスルートライアウト→進入実験」が一番の焦点だと思うんだけど、
どれくらセキュリティがすごいのか、とかちょっとグデグデな感もあり。

なんか、MI-3みたいな感じで、「うおー、こんな仕掛けが!」とか「こんな風に突破しちゃうんだ!?」とかいう、臨場感みたいなのは薄かったかも。もうちょっと、ワクワクドキドキさせて欲しかったナァ~とわがまま言ってみたり。
これ、2時間ドラマとかになったら面白そうですね。

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村上春樹「羊をめぐる冒険」

<p>メッセージ</p>
また、村上春樹の古いものを。
 
これも、既読でしたが、うる覚え。。。
 
位置づけとしては、ダンスダンスダンスより前の設定ですね。
 
まだ、美しく不思議な耳の女性は健在。
ある日、主人公が雑誌の公告に使った羊の写真をきっかけに
ある羊を探すたびに出ることになる。
耳の美しいガールフレンドと一緒に、羊を探して北海道へ・・・。
 
結局、羊のなぞは解けた(?)ものの、主人公は行き場を失ってしまったような結末。
その結果、ダンスダンスダンスにつながっていくのかな。
 
そう考えると、ダンスダンスダンスの結末は、やっぱりよかった。うん。
 
やっぱり、独特の言い回しとか表現とか、世界観とか不思議な村上春樹ワールドですね。
 
昔ほど、村上春樹、いいわぁ。とは思わなくなってる自分がいたりもするけれど、
あと『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』もボチボチ読もうと思います。

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2009年4月 7日

五味川純平「孤独の賭け」

<p>メッセージ</p>
なんか聞いたことあるなぁ。と思ったら、
前にドラマ化してましたね。伊藤英明と長谷川京子で。
最初の方を読んで、思い出しました。
今思うと、けっこうナイスキャスティングですね。
 
で、小説ですが、重そうでずっしり読み応えあるかなぁと思って選んで、
期待して読んだせいかイマイチ・・・。
 
なんか、結論が見えるっていうか。

バブリーで自信家で成り上がりものの千種と、
自分の叔父母に復讐しようとそれだけを胸に生きている百子が出会うところから物語は始まる。
自分の体を担保にして、200万を借り、それを元手に成り上がってゆく百子。
 
 
千種が成功し続ける、というのは話の流れでありえないから、
百子の一人勝ちか、二人で成功するか、二人とも堕落するか。
 
となると最後は?って想像できちゃう感じでしょ。
それを長々と書いていて。
 
これこそ、まるっきり昼メロだなぁ。
なんか、千種の脂ぎった感じとか、成り上がりっぷりとか。
 
うーん。辛口でゴメンナサイ。
でも、あんまり面白くなかったんですもの。残念。

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