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2008年10月22日

熊谷達也「モビィドール」

<p>メッセージ</p>
今回は、山ではなくて海。
 
イルカウォッチングで成り立っている、太平洋の巌倉島。ある日巨大なシャチが出現。いるかと人間の生活が一変する。激しく、そして美しく動くシャチ。1匹のシャチによってもたらされた、島の危機をどのように切り抜けるべきか。
 
シャチもイルカもできるだけ傷つけずに、一日も早く平和を取り戻したいと願う気持ちはみんな同じなのだけど・・・。
 
動物行動学者である、主人公の諒子が所属するNPOの立場や、昔から海とともに暮らしてきた現地の男たちの思い。そして、世間や、動物愛護団体や、政府。
 
それぞれの思いの中で、諒子がとる行動は・・・。
 
舞台を海に移しても、熊谷作品の根底にあるものは同じだなぁと思う。その描写も、やはり、強く、生々しく、そして美しい。
やっぱり、山の話が好きだなぁと思いはすれど(私自身が山女だからかもしれないけど)、なかなか楽しめました。

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久坂部羊「無痛」

文庫になったというのを、新聞広告で知ったので、早速購入。
 
物語は、見た目で症状が診断できるという医師為頼と、臨床心理士の菜見子とその元夫。
そして、もうひとりの天才医師白神と、痛みを感じないという男、イバラ。この5人を中心に語られる。
 
菜見子の働く施設に、入所しているサトミという女の子が、半年前におこった、一家惨殺事件の犯人だといい始めることをきっかけに物語は動き出すのだが・・・。
 
心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は減刑するという刑法三十九条。
 
それを利用しようとする人間。
本当に、精神を病んでいる人間。
 
一家惨殺の犯人はだれなのか。
果たして、犯人を罰することはできるのか・・・。
 
過去2作(?)にくらべると、はっきりとした犯罪がそこにあるし、主人公が問題の渦中に巻き込まれたりとエンターテイメント性は高いし、面白く読みました。
 
けど、個人的には、同じように、見た目で診断できる能力を持ちながら、違ったの視点を持つ白神と為頼の2人について、もっと掘り下げてほしかったなぁ。
為頼医師ってば、主人公の割には、キャラが薄いし・・・。うーん。期待した分、ちょっと残念。
でも、勢いよく読める、面白い本でした。

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2008年10月 8日

矢口敦子「償い」

<p>メッセージ</p>
息子と妻を死なせてしまったという、罪の意識から家を捨て、ホームレスとなった元医師の男、日高。
たどりついたとある郊外の町で、火事を目撃したこと、昔自らが命を救った少年との出会たことなどをきっかけに、その町で起きる事件を追うようになる。
事件を追いながら、捨てたはずの昔の自分を見つめなおし、これからの未来を考えるようになる・・・。と、あらすじはこんな感じかな。
 
最近、書店に行くと、とにかくこの本のポップがたくさん置いてある。
「泣けるミステリ」みたいな感じでおすすめされていて、あんまりたくさんの本屋さんで見るのでついに買ってみたのですが。。。
 
うーん。
そんなにおすすめかなぁ。すみません、普通でした・・・。
 
昔、命を救われた少年の心、本当に救うべき命だったのか。
その後の家族は果たして幸せだったのか。
そして主人公の日高はそこまで罪を負うものなのか、等々。
 
確かに、深く考えさせられるものではあるけれど、ミステリそのものにも、こういった心理的な内容がどちらも中途半端な感じで、(どっちもそこそこ面白いのだけど)全体的にあっさりとした読後感になってしまった気がします。
 
スイマセン、生意気言いました。
 
みなさんの感想ってどうなんだろう。
あんなにおすすめされてたのに、共感できなくてちょっと残念。

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内田春菊「ファーザーファッカー」

<p>メッセージ</p>
我が家の本棚になぜか入っていたので、読んでみました。
 
「自伝的」小説らしいですが、波乱万丈っていうかなんといか・・・。
なんだか、イライラし、不快感ばかりがつのる作品でした。
 
だいたい、この母親なんなんですかね。
おなかを痛めた娘が自分の内縁の夫と関係していてもまったく意に介さない。むしろ、喜んで差し出すみたいな・・・。
 
はっきりいって、まったくついてゆけませんでした。。。
 
そして、中学で妊娠し、認めたくなくて7ヶ月近くまで隠し続けたというエピソードには、
ちょっと、学校のトイレに子供を産み落とした高校生のニュースを思い浮かべて、
あー、もしかして親も友達も知らなかった、とかっていうのは、こういう心理なのかな。
とか。思ったりもしました。

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