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2009年5月20日

新田次郎 「剱岳(点の記)」

<p>メッセージ</p>
新田次郎さんの山岳小説って、けっこう「つらい」「きつい」みたいなイメージが強く、ストイックすぎてたまについて行けなくなりますが、この点の記は構えて読んだ分、ちょっと拍子抜け。(別にがっかりしたわけじゃなく)
 
日本初の剣岳登頂を三角点測量隊と、山岳会で争う。そんな男くさい物語と思ってました。
それが意外や意外、淡々と語られる。山岳会との勝負、は剣岳登頂へのきっかけでしかなく、勝負そのものは物語の本質ではない。といった感じ。
ホントに淡々、といった感じ。剣岳登頂はもちろんメインなのだけれど、昔の人が日本地図を作成するため、測量を行ってきた。その測量という仕事の苦労がひしひしと伝わってくる。三角点ってなんだっけ、と恥ずかしながら調べたり・・・。
決して登れない、登ってはいけない山の頂に「登った」という事実と、山岳信仰によって守られてきた剣岳そのものの歴史に対して、ずっしりとした重みの伝わる物語でした。
 
ちなみに、この小説は映画化されましたね。2009年6月公開。
 
山を文字で読むというのも、なかなか想像力がかきたてられて好きなのですが、
映像になったら、その迫力はいかばかりか、と見に行きたい気持ちでいっぱいです。

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川上弘美 「どこから行っても遠い町」

<p>メッセージ</p>
ひさしぶりに、川上弘美らしい、ほんわかとした短編集。
昔ながらの商店街のある町が舞台。
その町の人々の若かりしころのあれこれなんかが、1話ごとに主人公が変わりながら語られる、時間軸もバラバラで。
 
一話一話、すごく味わいがあるというか、素敵な雰囲気なんだけど、強烈な印象を残さないでサラリと読ませる。
そんな濃すぎないところが、川上弘美作品のふともう一度手に取りたくなる理由かなと思ったり。
 
いろんなことがあった(ある)けど、今の自分は人がどう思うとは関係ナシに結構幸せ。
そんな11話すべてに共通するマイペースさが心地よい。

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歌野晶午 「葉桜の季節に君を想うとい うこと」

<p>メッセージ</p>
これまた、このミステリがすごい大賞受賞作です。
ドキドキもののミステリを求めているわけですが・・・。
 
「なんでもやってやろう屋」を自称する成瀬将虎という男が、
フィットネスクラブで知り合いの女性と後輩から、おじいさんがマルチ商法に引っかかって、
殺されたのではないかという証拠を調べて欲しい、と頼まれるところから話は始まる。
 
トラと呼ばれ、愛嬌も度胸もあり、なかなかテンポのいい調子ですすむ。
ちょっとした恋などもあり、ふむふむ、と読み進めると・・・。
 
最後の最後で「?????」つじつまが・・・???
 
前を読み返したり先を読んだりして「あ、そういうことなのか。」と思う。
それがラストのお楽しみ。
 
それなりにテンポよく楽しい作品でしたが、ドキドキのミステリとはちょっと違った感じ。
「このミス大賞」作品で、ちょっとイメージと違う作品が続いているので、次はホラーにしてみようかと思います。こわくてたまらないやつを。

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2009年5月 1日

森絵都「風に舞い上がるビニールシート」

<p>メッセージ</p>
あまりよく見ず買ってしまいましたが、読み始めて短編集である事に気付きました。
 
我儘なオーナーパティシエのために奔走する秘書
捨て犬の世話をするボランティア
仏像に魅入られた修復師
 
などなど。。。
日常を一生懸命がんばる人々を描いた物語。
 
私が一番「好き」だったのは仏像の修復師の物語。
 
仏像に非常なこだわりを見せる主人公と職人肌の親方との関係。
そして、手先が器用で、生き方も上手な同僚。
 
ある時修復に携わった仏像に心を奪われ、親方とぶつかりながらも
「その仏像を本当に理解しているのは俺だけだ」と思い続ける・・・。
 
結果、自分の思い通りに修復できたという結末ではないんだけど、
なんか、不思議と若いときのこだわりとか、思い込みとかに感じるものが
あったり、それがある時ジワーっと解けていく様子とかに心があったかくなりました。
 
仏像好きなので、それも、この作品が気に入った理由のひとつかも。
 
そして、短編集の最後が表題の「風に舞い上がるビニールシート」。
 
国連の難民事業に携わる里佳は、職場恋愛の末、結婚。そして、離婚。
 
その後、元夫は紛争の絶えないアフガンの地で亡くなってしまう・・・。
 
結婚し、自分の家庭を気付きたいと願う主人公。
そして、「難民たちを救うために現地で働き続ける」ことにこだわる夫。
 
すれ違い、越えられない壁・・・。
 
「風に舞い上がるビニールシート」の言葉が胸にしっかりと残ります。
(私は風呂で号泣でした。。。汗)
 
 
多かれ少なかれ、誰でもが経験する、日々の葛藤。小さな選択の数々。
じんわりと心に残る短編集。 直木賞受賞作、納得です。

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伊園旬「ブレイクスルートライアウト」

<p>メッセージ</p>
久しぶりに新しい本を買いました。
いやー、本棚の本を惰性で読むのとはやっぱり違いますね。
読みたい本を選んで読むと、テンションがあがります。
「このミステリーがすごい大賞受賞」文庫の帯のセリフだけで買いました(笑)
なんか、ドキドキして、一気に読めるような本が読みたくて。
あるセキュリティ会社が自分の会社のセキュリティ技術のテストもろもろのため、
「ブレイクスルートライアウト」というコンテストを開催する。
北海道の山奥にある自社の最新のセキュリティ技術を終結して作った研究所に
進入させ、その進入が成功するか!?というコンテスト。
なかなか面白いネタですよね。
主人公と相棒との友情とか、それぞれの個人的な事情とか、ちょっとしんみりな内容もところどころに入れつつ、スピード感ある感じで、気持ちよく読めます。
とはいえ、「ブレイクスルートライアウト→進入実験」が一番の焦点だと思うんだけど、
どれくらセキュリティがすごいのか、とかちょっとグデグデな感もあり。

なんか、MI-3みたいな感じで、「うおー、こんな仕掛けが!」とか「こんな風に突破しちゃうんだ!?」とかいう、臨場感みたいなのは薄かったかも。もうちょっと、ワクワクドキドキさせて欲しかったナァ~とわがまま言ってみたり。
これ、2時間ドラマとかになったら面白そうですね。

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村上春樹「羊をめぐる冒険」

<p>メッセージ</p>
また、村上春樹の古いものを。
 
これも、既読でしたが、うる覚え。。。
 
位置づけとしては、ダンスダンスダンスより前の設定ですね。
 
まだ、美しく不思議な耳の女性は健在。
ある日、主人公が雑誌の公告に使った羊の写真をきっかけに
ある羊を探すたびに出ることになる。
耳の美しいガールフレンドと一緒に、羊を探して北海道へ・・・。
 
結局、羊のなぞは解けた(?)ものの、主人公は行き場を失ってしまったような結末。
その結果、ダンスダンスダンスにつながっていくのかな。
 
そう考えると、ダンスダンスダンスの結末は、やっぱりよかった。うん。
 
やっぱり、独特の言い回しとか表現とか、世界観とか不思議な村上春樹ワールドですね。
 
昔ほど、村上春樹、いいわぁ。とは思わなくなってる自分がいたりもするけれど、
あと『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』もボチボチ読もうと思います。

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