2009年7月 8日

中山可穂「ケッヘル」

<p><p>メッセージ</p></p>
これ、今年一番かもしれません。
エンディングまでぐいぐいとひきつけられ、先へ先へと読むのがやめられない一方、「読み終わりたくない」と後ろ髪を引かれる。パワフルでありながら、繊細な作品。
 
中山可穂さんの、重く、美しい、独特の官能的な文章に、「モーツアルト」という天才と音楽という芸術が色を添え深みを与えている。
 
いつもの、どっぷり恋愛。というのではなくて、ミステリアスな話の展開にぐいぐいと引き込まれる。ちなみに、ケッヘルというのはモーツアルト作品の別の呼称。ケッヘルさんという人が、モーツアルト作品を整理して1作づつにつけた番号だそう。
 
駆け落ちまでして、貫いた恋が、しだいに狂気へと変わる。
命の危険を感じ、猛然と恋人から逃げるため、旅にでる。終わりのない、戻る場所のない旅。
その旅に終わりを与えてくれたのは、フランスで出会った不思議な男だった。
不思議な出会いの後、主人公の香耶の周りでは次々と殺人事件が起こる。そして、少しづつ解明される真実と、新しい出会い・・・。
 
伽椰と鍵人。主人公を交互に変え、現在と過去をいったりきたりしながらつづられる物語は
フランス映画のようでもあり、ハリウッドドラマのようでもあり。
 
ああ、こういう本が読みたかった。と久々の大感動。
 
中山さんの作品には、一貫して女性同士の恋愛が描かれています。それも、かなり激しく生々しく。

多分、女性は女性同士の恋愛が描かれていても、それほど嫌悪のある人はいないと思うんですが、男性はどうなんだろうなぁ、なんてふと思いました。
中山さんの作品、特にこの物語は、本当にスバラしい。「マラケシュ心中」なんかもほんと身動きできないくらいの作品でしたけど、この作品は今までの恋愛ものを突き抜けた感があって、ぜひぜひみんなに勧めたい。
でも、「女性どうしの恋愛」を避けるがゆえに、男性がこの本を手にとらないとしたら、もったいないなぁ(なんか、男性に受け入れられないような気がして・・・)、なんてなんの根拠もないことを考えていたら、旦那が読んでました。
そして、「中山可穂」っておもしろいね。 だって。余計な心配でした。(というか、私が一番偏見もってたのかな?もしかして。)
確かに、「ちょっと・・・」と思いながらも、セックス&ドラッグ&バイオレンス、な作品も読むもんね。私も。
 
とにかくとにかく。すごく、よかった。

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2007年3月 2日

中山可穂「弱法師」

表題の中編を含む3編を納めた中編集。
余裕のない、身も心も切り裂かれるような恋愛小説。少年と義理の父、一回りも離れた作家と編集者。さらには、母と叔母と娘が、結果的に命をかけて愛し合う姿が描かれている。あからさまに愛し合っているというわけではないけれど、どうみても、それぞれの登場人物は恋をしていて、思わず胸が苦しくなる。セックスの描写なしに、究極のエロスを描きたかった。とあとがきにあるように、美しく生々しい性描写はないけれど、少年と父、娘と叔母、ありえない2人の間に、必要以上の恋愛の空気が漂っている。中山可穂といえば、女性同士の恋、それも麻薬のように身も心もぼろぼろになるような恋愛というイメージで、正直読み始めたときは「あれ?」と思ってしまった。けれど、読み終わる頃にはそれぞれの物語に描かれる、触れたら、血がでそうなほど鋭く繊細で、命を削って誰かを愛する姿は、やはり中山可穂さんだなぁとあらためて感じた。元気な時でないと、ちょっと読むのは苦しすぎる。

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2006年9月17日

中山可穂「マラケシュ心中」

またまた読んでしまいました。中山可穂さん・・・。「恋がいつか終わるものならば、私たちは恋人同士になるのはやめましょう・・・」私も、恋人同士にならなければ、その相手を一生失わずにすむ。と思った事が少なからずある。それは、恋の多くが終わるものだと、知ったからなのだけど。
絢彦と泉、二人は落ちてはならない恋に、最初から落ちていたのだ。恋人にならずに、永遠に終わる事のない関係を築こうなんて、最初から無理だった。二人の先にあるものは?永遠にお互いを手に入れる為の唯一の方法、それは「心中」なのだろうか・・・。あまりにも強すぎる感情に圧倒されながらも、電車で涙を流しながら、読むのをやめる事ができなかった。主人公は絢彦というペンネームだけれど、女性だ。中山さんの描く恋愛はすべて女性同士のもの。感情は男女のものとは変わりないけれど、その先に「結婚」や「子供」という未来がないこと、そして、自分の恋した人の多くが異性を愛する人である。という苦しみがあるような気がする。だからこそ、今の恋にこれだけの情熱を注ぐのかもしれない。そして、この小説では、俳人である絢彦がヨーロッパの様々な地を旅する。描かれるのはほんの少しだが、情緒ある描写に旅情をさそわれる。恋と旅と文学、この組み合わせっていつの時代もたまらない。

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2005年11月30日

中山可穂「白い薔薇の渕まで」

純粋で濃密な恋愛小説。それも、同性愛の。中山可穂さん自身が同性を愛する人であるせいか、全体の描写に違和感がない。ごく普通の男女の恋愛物語と何ら変わりない印象のまま読んだ。
恋愛はエゴイスティックなものなんだということ、エゴをぶつけ合って、傷つけあうのは分かり合いたい思っているからだということ。そんなことを、なんだか久しぶりに感じた。そういう恋愛をしていると、その愛情の重さだけつらくて、お互いが擦り減ってゆくことも・・・。
好きだという以外の余計な説明がいらない、そんな恋愛が潔い。あまりにも、潔すぎるからだろうか。濃密すぎるセックスも、嫉妬も、背景にある複雑な家庭環境も、なぜかすんなりと受け入れられた。こんなにも甘ったるい恋愛小説を、違和感なく読み終えられたのは久しぶりの気がする。

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2005年6月12日

中山可穂「深爪」

久しぶりの色っぽい恋愛小説。深爪。このタイトルが読み進めるごとにどんどん色気を帯びてくる。なつめと吹雪の女性同士の恋愛。吹雪の旦那マツキヨの想い。それぞれの視点で描かれる3編の連作。おもわずそれぞれの情熱に当てられて、熱にうかされたようになってしまった。恋はするものではなく、落ちるもの。あまり頻繁に読むと、身が持たないかも。。。

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