2008年11月17日

いしいしんじ「ポーの話」

<p>メッセージ</p>
うなぎ女から生まれたポー。黒くて小さなポー。
なんていとおしいんだろうか。ポーはたくさんの愛に包まれて育ち、たくさんの人と触れ合って、さまざまな気持ちに触れる。
 
うなぎ女のもとで育ったポーは、ある洪水の後に、海へと流れて行く。
 
さあ、行きなさい。と送り出す、うなぎ女たちの力強いこと!
 
母は強し、だなぁ。命の源。
 
街から出たポーは、たくさんの人に出会い、「大切なもの」を少しづつ知ってゆく。
そして誰かの大切なもの、を守ろうとする。
 
物語の結末は、少し寂しくて、あったかい。
雄大な、そして壮大な世界。
 
つらつらと、たくさんの感想を書き述べることは難しいけれど、とても素敵な物語。
出会えてよかった。と思える大切な1冊です。

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2008年2月20日

いしいしんじ「東京夜話」

東京の地名がサブタイトルについた物語があつめられた短編集。
うわー、いしいしんじワールドだ!って感じ(笑)。おもしろくって、せつなくって、時に残酷でシュール。でも、読後はいつもあたたかな気持ちが残る。
鮭とマグロの恋物語なんて、ちょっぴりエロティックな感じすらするし、ダッチワイフと主人公の不思議な夜は、寂しくもあたたかな気持ちになれる。池袋に同情したり、カラスのたくましさには、圧倒されたり。どんな生き物も(時には生き物ですらないものも!)すべてが同じ目線で平等に描かれ、たくさんの愛が詰まっている感じがする。
雨がふったり、気分が乗らなかったり、今日は家に引きこもって、ひっそり読書したいな~。って気分の時には、こんな独特の世界観にどっぷりとはまるのが最高!って1冊でした。

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2006年11月18日

いしいしんじ「プラネタリウムのふたご」

プラネタリウムに捨てられていたふたごのテンペルとタットルの物語。プラネタリウムの解説員である「泣き男」に育てられた二人。やがて一人は手品師に、一人は郵便配達員になる。ふたりは離ればなれになってしまうけれど、「たったいま誰かが自分のとなりにいて、自分とおなじものを見て喜んでいる」と、心から信じてそれぞれの人生を歩んでいく。
プラネタリウム、そして手品。どちらも本物ではない。「だまされる才能のない人間はさみしい。」とそんな文章があったけれど、ほんとにそうだと思う。プラネタリウムに祖国の空を観たり、手品の仕掛けにこころから感動したり。「どうせ種があるんでしょ。どうせ偽物じゃん」そんな風に思っていたら、人生の楽しみが半分になってしまうよね。ほんとうに、生きていく上での楽しさ、悲しさ、苦しみがつまった物語。何度も読み返したい、そんな物語です。

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2006年7月24日

いしいしんじ「トリツカレ男」

トリツカレ男のジュゼッペは、なにかに夢中になっては、それ意外、なにも手につかなくなってしまう。三段跳び、昆虫採集、オペラ、etc。そして、今度、ジュゼッペがとりつかれたのは、風船売りの少女、ペチカだ。ペチカの笑顔の奥に見えるくすみを、どうにかして取り去りたいとジュゼッペはありとあらゆる方法を駆使する。せつなくて、やさしくて、あたたかい物語。特に素敵なのは、ジュゼッペは、次から次へととりつかれて行ったけれど、ペチカの後には何にもとりつかれなかったということ。いいないいな。こんな風に、想い合えたらいいな。なんて、いしいしんじならではの、ユーモアと、愛情が素敵な物語。中編のせいか、麦踏みクーツェほどの読み応えはないけれど。じつはこっそり、いしいさんのHPのファンでもあったりする。こんな優しい物語の、原点があるような気がするから。

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2006年4月 9日

いしいしんじ「麦ふみクーツェ」

以前、いしいしんじなら「麦ふみクーツェ」だよ。という話をしたのを思い出し、図書館で借りてみた。けれど、読み始めてすぐに、私は図書館で借りた事を悔やんでいた。なぜって、何度も読み返したくなる予感がひしひしとしたから。
ある港町にお父さんとおじいちゃんと3人で暮らしている少年「ねこ」は、あるときから、麦ふみクーツェが麦を踏む音が聞こえるようになる。「とん、たたん、とん」。クーツェ、音楽、そして、街の大人とふれあいながら、ねこは成長してゆく。それはそれは素敵な物語だ。ねこは多くの大人たちに出会う。その大人たちが、あまりにも魅力的なので、私はねこがうらやましくって仕方がなかった。物語の終わりに、ねこが、初めて指揮棒をふった演奏会のスクラップの記事には、おもわず涙がでそうになった。(それまでにも、何度も泣きそうになったけれど)きっと、私にとって、一生ともに暮らす1冊になるに違いない。図書館に返却する足で本屋さんにいこうかなぁ・・・なんて。ついでだけれど、この文庫の解説がまたすばらしい。ぜひ、文庫をおすすめします。

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